100リットルの水で、約100人が温かいシャワーを浴びる。
単純に割れば一人1リットル。家庭用シャワーの感覚では、髪をぬらしている途中でなくなる量なのですが、それでも入浴できるのは、100リットルを100人へ分配するのではなく、使った水をその場で再生し、次の人へ回しているから。

龍ケ崎市が、2026年8月4日、熊本地震の被災地へ水循環型シャワーテント「WOTA BOX」6基を発送したのだそうで、これは上下水道へ接続せず、排水の最大98%を処理して再利用するというもの。
シャワーの流量は毎分約4リットルで、数分浴びれば、一人で最初の100リットルを使い切る計算になるのですが、ここで重要なのは、100リットルが利用者一人ひとりの取り分ではなく、循環を始めるための「タネ水」だという点。
循環と聞くと、前の人が浴びた水がすぐシャワーヘッドへ戻ってくる光景を想像してしまうものですが、実際には、活性炭やRO膜を含む6種類のフィルターを通し、深紫外線と塩素系消毒剤も使うようで、WOTAは、処理した水が公衆浴場の上がり湯・上がり用水の水質基準に準拠すると説明しています。
センサーが水質と装置の状態を監視し、フィルター交換の時期も表示してくれるようで、尿を検知した場合は、その水を循環させずに排出する安全機能も備えているのだとか。
一方、何を流しても再生できる装置ではないようで、油、アルコール、毛染め液、排泄物などは流せず、シャンプーの種類によってもフィルターの消耗も変わってくるようで、利用者の汚れや使用条件によっては、98%の再生率や100人という人数に届かない場合も。
テントと装置は大人2人なら約15分で設営できるようですが、設置後にスイッチを入れておけば100人が自動的に入浴できるわけではないようですね。
能登半島地震で運用した避難所では、約10人が使うごとに排水口の髪の毛を取り除いていたようで、利用が一時に集中し、水の再生が追いつかず補給した例もあるのだとか。
最も交換頻度の高いフィルターは、使用条件によってシャワー約50回ごとに交換することも。
電源も必要ですし、本体は最大700W、給湯装置は最大135Wで、温水には灯油も使用するとのことで、水道から独立できても、人手、電力、燃料、消耗品から独立できるわけではないわけです。
100リットルで100人という数字は、水がほとんど減らない装置の説明であると同時に、その水を何度も使える状態へ戻し続ける運用の数字でもあります。
被災地へ送られたのは6基のシャワーだけではなく、清掃し、測定し、フィルターを交換しながら100リットルを働かせ続ける小さな水道設備そのものといってもいいでしょう。

